NPO birth

2023.2.27
自然環境マネジメント

絶滅危惧種「トウキョウサンショウウオ」の復活

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数多くの谷戸が入り組む丘陵地の公園で、絶滅危惧種である「トウキョウサンショウウオ」が激減。調査、産卵環境の整備、飼育による保護・増殖を実施したところ、卵のう数がV字回復しました。

○ 日時:2006年~
○ 場所:都立野山北・六道山公園

公園の絶滅危惧種を守りたい!

丘陵地の雑木林と浅い水辺に生息する「トウキョウサンショウウオ(東京都北多摩:絶滅危惧ⅠA類/西多摩絶滅危惧ⅠB類/環境省:絶滅危惧Ⅱ類)」は、一時公園で激減していました。
個体数を回復させるため、
産卵環境の維持・整備(生息域内保全)と飼育による保護・増殖(生息域外保全)を同時展開しました。

固有の生態系を守る

トウキョウサンショウウオは雑木林の中や隣接地の浅い水辺で産卵しますが、落ち葉や土砂の堆積によって多くの水辺が消失してしまっていました。そのため、産卵期前に土砂をかき出す整備を経年的に実施。これまでに公園内の13谷戸で合計48カ所の水域を整備し、すべての場所で維持管理の作業を毎年継続しています。

在来種の保護・増殖

飼育による保護・増殖については、公園内に産卵された卵のうの一部を回収して実施。トウキョウサンショウウオの幼生は共食いする習性がありますが、個体数が少ない環境下では共食いによる個体数ロスをなくしたかったため、餌を十分に与えて飼育し、共食いを防ぎました。野生下に放流する際は、谷戸ごとの遺伝的多様性に配慮し、卵のうを回収したのと同じ場所に幼体を戻しています。
毎年実施している卵のう調査では、平成23(2011)年~28(2016)年にかけて確認数が100個を超えて安定しました。平成29(2017)年以降は60個程度に下がっていますが、これは外来種アライグマの捕食による影響と見られており、行政との協働による捕獲駆除を開始しています。
トウキョウサンショウウオも生息できる地域の生態系を取り戻すため、こまめなモニタリングに基づいた保全対策をおこなうことで、着実に成果を上げています。

NPO birthでは、これまでの活動の中で培ってきた経験と実績を基に、
地域の生態系を守り、失われた自然を取り戻すためのさまざまな取り組みで、成果を上げています。

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