掲載:2020.6.4
池の水をぜんぶ抜く
「かいぼり」
かいぼりはどうやってやるの?
まずは、とにかく水をぜんぶ抜きます。昔ながらの池であれば、水抜きの栓がついていて、お風呂のお湯を抜くようなイメージで水抜きできる池もあります。それが無い場合や、栓が木の根っこで詰まって抜けないような場合には、電動ポンプを使って抜きます。次に、生きものをすべてつかまえます。長年の間にたまった泥は深く、足を取られて大変ですが、魚が酸欠で死んでしまう前に手早く捕獲していきます。捕獲した生きものは、在来生物(池に戻すもの)と外来生物(防除するもの)に仕分け、個体数や体長などのデータを測定します。
生きものの捕獲が終わったあとは、すぐには池に水を戻さず、池の底を天日に干します。これは池干しとか、干し上げと呼ばれるもので、とても大事な作業です。泥を空気に触れさせることによって、池の底にたまった窒素やリンといった栄養分を減らす、つまり富栄養化した状態を緩和させることができます。これによって、池の水がきれいになり、水が透明になれば太陽の光が入るので、水草の復活が期待できます。池干しの期間はだいたい1カ月ぐらいで、そのあと池に水をため、在来生物を放します。
池にはどんな生物がいるの?
多くの池で出てくる生物としては、在来種ではモツゴ、ギンブナ、ヨシノボリという淡水魚。水質悪化に強い、産卵環境にこだわらないといった性質があります。外来種ではコイ、アカミミガメ、ウシガエル、アメリカザリガニはどこに行ってもだいたいいます。最近はどこの池も水が濁っていますが、これはコイが泥を巻き上げたり、アメリカザリガニが水草を食べてしまったりすることが大きな要因です。一度そうなってしまった池は、自力で元の環境に戻るのが難しいので、かいぼりが解決策となります。
その他、ワニガメ、アリゲーターガー、ソウギョなどの大型の外来種が見つかったり、お寺の池でニホンウナギがたくさん採れたりすることもありました。水を抜くまで何が出るかわからない、それがかいぼりの醍醐味です。